🔍 古語拾遺の完全訳
今回の書は、『大祓詞』に記された、『神武天皇』の「天皇宣言日」当日の様子を記しているかもしれません。
日臣命(中臣や大伴氏のご先祖にあたる)が、宮内に集まる客人を威嚇しながら、殿にて行われる祭祝詞の準備を行う様子は、まさに『天皇宣言』当日の『大祓の儀』の典型的な描写なのです。
日臣命は、神武天皇東征の時に活躍した側近なので、彼が現役の頃の『大祓の儀』の描写であるなら……
この準備の記録は『大祓詞』に記された「天皇宣言日」当日の様子ではないだろうか?
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【原文と直訳】(大祓詞)
日臣命 帥來目部 衛護宮門 掌其開闔
饒速日命 帥内物部 造備矛盾
其物既備 天富命 率諸齋部
捧持天璽鏡釼 奉安正殿 并懸瓊玉 陳其幣物
殿祭祝詞 《其祝詞文在於別卷》
日臣命は 來目部を率いて宮門を衛護し その開閉を掌る
饒速日命は 内物部を率いて矛盾を造備する
これらの物が備わりし後 天富命は諸齋部を率い
天の璽鏡釼を捧持し 正殿に奉安し 瓊玉を懸け 幣物を陳列する
殿での 祭祝詞 《その祝詞の文は別卷にあり》
次 祭宮門 《其祝詞 亦在於別卷》
然後 物部乃立矛盾 大伴來目建仗 開門令朝四方之国 以觀天位之貴
次に 宮門の祭りを行う《その祝詞もまた別卷にあり》
然る後 物部は矛盾を立て 大伴來目は仗を建て 門を開き 四方の国々に天位の貴さを観るように命じる
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祝詞って言葉は聞いたことがあります。
でも、これは何の説明ですか? |
日臣命(中臣や大伴氏の祖先)の監視のモト、客人を宮内に集め、殿での 祭祝詞のあとに、宮門の祭りを行う。
その時にも、別な祝詞があると言ってますよね?
この条件にピタッと合う儀式といえば、『大祓の儀』なのです。
もしかしたら、『大祓詞』に書かれている〝天皇宣言日〟のまさに当日の準備かもしれませんよ。
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以下は、【原文】の現代訳バージョンになります。
『
古語拾遺』第2部 (大祓の儀)
「従五位下」官位
斎部宿禰廣成 (奈良・平安時代)
日臣命様の、この日の役割は、まことに重要でございました。
来目部を御率いになり、宮門の警護を行いながら、その開閉を監督されました。
また、饒速日命様は、内物部を御指揮し、盾と槍の製造と準備を行われました。
武具が整いましたところで、天富命様が、様々な清めの部署を御率いになり、神聖な皇室の神器、すなわち鏡と剣を本殿に運び、敬意を持って安置されました。宝石や神聖な供物も掛けられました。
地方豪族を中に集め、祭りが始まります。
本殿にて祈りの言葉が唱えられました。
その 祭祝詞 は〝大祓詞〟です《その祝詞の文は別巻にあり》
その後、朱雀門広場に場所を移し、次の祈りが捧げられました。
〝天津祝詞〟です《その祝詞の文も別巻にあり》
大王様への陳情が終わった後、最後に、内物部が盾と槍を携えて立ち、大伴来目のムラジが武装して門を開きました。
全ての祭りが終わり、門が開かれると、四方の国々に届く天皇の高貴で偉大な威厳を見るように、命じられたのでございます。
📼 作者の斎部廣成 一人語り風
このときの様子は、確かに国家レベルの大イベントでございましたから、筆官がその時の様子を記録して、それが重要古文書として、代々大切に保管されていた可能性は高いですな。
大王様も、このイベントの最中に、反乱分子によって暗殺される危険性もあったわけですから、命がけのイベントであったものと思われます。
この後、何度か改訂が加えられ『中臣の祓詞』と呼ばれた奈良時代のものが、現在知られているバージョンの『大祓詞』だと思われますな。
祝詞の文が、後の時代に書き換えられたという証拠は、この時点ではまだ起こっていなかった、出雲での素戔嗚尊様のそそうが、その『大祓詞』に載っているわけですから、確実にそれより後の時代に書き直されておりますな。
🎓 『古語拾遺』を理解する、分かりやすい解説
その当日、宮殿の門が開かれる時、日臣命様は、来客である豪族たちを警戒の眼差しで見守っておられました。
彼らは表面上は客人でありながら、その心中には策略が秘められているかもしれません。このため、来目部の警護は、ただの儀式ではなく、宮殿の安全を守るための本気の任務でございました。
饒速日命様が率いる内物部は、盾と槍を手にして、いつでも戦いに備える姿勢を見せておりました。これらの武具は、宮殿を守るための力の象徴であるとともに、いざというときの敵に対する警告でもありました。
天富命様が率いる清めの部署は、神聖な皇室の神器を本殿に安置する際も、周囲を警戒する目を光らせておりました。鏡と剣は、ただの神器ではなく、これまたいざというときの武器でございました。
地方豪族たちが宮殿に足を踏み入れた時、彼らはこの厳重な警備と威厳に圧倒されました。
彼らの中には、始めは裏切りの念を抱いている者もいたかもしれませんが、宮殿の堂々たる様子と厳しい警戒態勢は、彼らに謀反を思いとどまらせるに十分でございました。
このように、宮殿は豪族たちを迎え入れる準備を整えつつも、内部では緊張感を持って、裏切りに備えておりました。それは、宮殿の安全と秩序を守るための、見えない戦いでもあったのでございます。
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宮殿の門が開かれた瞬間、来客である豪族たちは息をのみました。
彼らが目にしたのは、壮麗な宮殿の姿と、その門を守る荘厳な姿勢の内物部の兵士たちでした。
見たこともない、最新の盾と槍を手にした彼らの姿は、宮殿の威厳をさらに際立たせていました。
宮殿内では、天富命が率いる清めの部署が、神聖な皇室の神器を安置していました。鏡と剣は、その輝きで宮殿の内部を照らし、宝石や神聖な供物が展示されている様子は、その場の荘厳さを一層高めました。
見たこともない豪華さに圧倒され、まるで神々の住む世界のようでした。
本殿で唱えられた祈りの言葉は、静かながらも力強く、宮殿全体に響き渡りました。
次に宮門で祈りが捧げられました。
そして、初代天皇陛下への陳情の場が、一人一人にもうけられたのでございます。
この日、宮殿は初めて外部の豪族たちにその全貌を現し、その壮大さと神聖さで、彼らを深く感動させました。
それは、ただの建築物以上のもの、天と地を結ぶ神聖な場所としての宮殿の姿を、彼らに強く印象付けたのでございます。
『古語拾遺』第2部 皇室の貴重な品々